内分泌内科(甲状腺疾患)について
内分泌内科では、ホルモンの分泌異常によって起こる病気の診断や治療を行います。様々な臓器で見られますが、特に多いのが甲状腺疾患です。甲状腺は喉ぼとけのすぐ下にあり、気管を取り囲んでいます。蝶が羽根を広げたような形をした小さな臓器なのですが、とても重要な役割を果たしています。甲状腺から分泌されるホルモンによって全身の新陳代謝や成長促進などが調節されているので、何らかの障害が起こると体調に異変が生じます。
このような症状の方はご相談ください
- 最近、疲れやすくなった
- 身体がむくんでいる
- 首に腫れがある
- 安静にしていても動悸を感じる
- 手の指などが細かく震える
- 暑がりになり、水をよく飲むようになった
- 身体が冷えやすくなった
- よく食べるのに痩せてきた
- 食欲がないのに太ってきた
- イライラしやすくなり、落ち着かないことが増えた
- 肌が乾燥し、カサカサする
- 朝起きたとき、顔や手がむくんでいる
- 長い間、便秘の状態が続いている
- 昼間も眠く、居眠りしてしまうことがる
- 月経不順になった
主な甲状腺疾患
- バセドウ病
- 無痛性甲状腺炎
- 亜急性甲状腺炎
- 橋本病(慢性甲状腺炎)
バセドウ病
バセドウ病は、甲状腺機能亢進症を起こす代表的な病気です。特殊な抗体によって甲状腺が刺激されることにより、甲状腺ホルモンが過剰に作られるようになり、血中濃度も高くなります。他の甲状腺疾患も概ね同様なのですが、バセドウ病も女性に多い病気です。
暑がりになった、疲れやすくなった、身体がだるいと感じられた方はバセドウ病の可能性があります。イライラ感、落ち着かない、集中力の低下、不眠、発汗、脱毛、痒みなどの症状もよく見られます。この他、脱力感、筋力低下、手足の震え、眼球突出、複視、甲状腺腫大、動悸、頻脈、心房細動、心不全、むくみ、息切れなど多彩な症状が起こります。放置していると血糖上昇、血圧上昇、肝障害などのリスクが高くなりますので、お早めに内分泌内科を受診し、お薬などによる治療を受けるようにしましょう。
無痛性甲状腺炎
無痛性甲状腺炎は、何らかの原因によって甲状腺が破壊されてしまい、その中に蓄えられていた甲状腺ホルモンが血液中に漏れ出してしまう病気です。これに伴い、一過性の甲状腺機能亢進が起こります。一般的には甲状腺に痛みが生じないので、無痛性甲状腺炎と呼ばれます。ホルモンの値に着目していると、バセドウ病との区別が難しいケースもあるため、専門医の下で検査を受けることが大切です。
主な症状としては、動悸、暑がり、体重減少などが、比較的短い期間に認められます。バセドウ病とは異なり、無痛性甲状腺炎の甲状腺機能亢進は一過性なので、治療しなくてもやがては正常化し、通常は2ヶ月ほどで症状が治まります。しかし、動悸や手の震えなどの症状が強い場合は、対症療法としてβ遮断薬を使用し、過労を避けるようにしながら甲状腺ホルモンの量が低下するのを待つ必要があります。
亜急性甲状腺炎
亜急性甲状腺炎は、甲状腺に炎症が起こる病気です。全経過期間が急性疾患と慢性疾患の中間くらい(2~4か月)なので、亜急性甲状腺炎と呼ばれます。原因としては、ウイルスの感染が疑われていますが、完全には明らかにされていません。
この病気になると、まず甲状腺の辺りに痛みを覚えたり、風邪様の症状が出たりします。それから2〜3週間が経過すると、急速に病状が進行し、甲状腺が硬く腫れてきます。患部を押すと痛みが生じます。発熱は軽微にとどまることもありますが、ときには40℃近い高熱が出ることもあります。甲状腺機能亢進症の症状が自然に治まることもありますが、対症療法的な治療を進めることもあります。熱と痛みに対してはサリチル酸製剤を処方しますし、痛みがひどく重いような場合はステロイドを投与します。動悸に対してβ遮断薬を使うこともあります。
橋本病(慢性甲状腺炎)
甲状腺機能低下症の代表的な病気として知られている橋本病は、圧倒的に女性に多く見られます。甲状腺ホルモンの量が不足してくると、新陳代謝が低下し、実年齢に比べて全身が老けていくような症状がみられます。無気力になって頭の働きが鈍くなり、忘れっぽくなって、ひどくなると認知症の原因の1つにもなります。寒がりになり、皮膚も乾燥してカサカサになったり、体全体がむくみ、髪も抜け、眠気が伴い、ボーッとして活動的でなくなったりします。ご自身で首の正面辺りを触ってみて、甲状腺が硬く、表面がゴツゴツした感じになっているときは橋本病の可能性がありますので、専門医を受診して診察を受けると良いでしょう。