糖尿病とは
健康な人の場合、血液中のブドウ糖がうまく全身の細胞内に送り届けられ、エネルギー源として利用することが出来ます。ご飯を食べ過ぎて必要以上の栄養分を摂取したときでも、肝臓で余分な栄養を蓄えたり、膵臓から分泌されるインスリンというホルモンの働きによって、血液中のブドウ糖の量(血糖値)が過剰にならないような仕組みが備わっています。
ところが、何らかの要因によって十分な量のインスリンが産生されなくなったり、産生されても適切に機能しなくなってしまうことがあります。その結果、血管内にブドウ糖が慢性的に過剰となる疾患が糖尿病です。
糖尿病の診断
糖尿病の診断にあたっては、いくつかの要素を複合的に分析する必要がありますが、一般の方にも分かりやすい基準として、空腹時の血糖値があります。この数値も医師が専門的な立場で判断していきますが、一応の目安として、空腹時血糖値が126㎎/dl以上の場合を糖尿病型、110~125㎎/dlが境界線(糖尿病予備群)、そして109㎎/dl以下のときは正常と考えます。但し、空腹時血糖値が正常であっても、食後血糖値が高い場合は注意が必要です。
血糖が状態を放置し続けると、血管の壁が傷ついて動脈硬化になったり、心臓病などのリスクが高まったりします。さらに進行すると、失明や腎不全、足の切断などで日常生活に大きな支障が出ることもあります。
このような症状の方は糖尿病内科の受診を
- 健康診断で血糖値の異常を指摘された
- 以前と比べて体重が増えてきた
- 食事の量が増えた
- 以前よりも運動量が減ったのに、食べる量は変わらない
- いくらでも食べられる
- 急に甘いものが欲しくなる
- よく食べるのに痩せる
- 喉がよく渇く
- 尿の回数が多く、量も多い
- 尿の臭いが気になる
- 残尿感がある
- 下腹部が痒い
- 足がむくんだり、手足が痺れる
- やけどや怪我をしても、あまり痛みを感じない
- 視力が落ちてきた
糖尿病の種類について
糖尿病には主に2つのタイプがあります。ひとつ目は1型糖尿病と呼ばれており、膵臓にある一部の細胞が破壊され、血糖値を引き下げるインスリンというホルモンが絶対的に不足することで起こります。もうひとつは2型糖尿病であり、主に不健康的な生活習慣が原因となって起こります。日本人の場合、圧倒的に2型が多く、全体の90%以上を占めています。その他、何らかの病気に起因して糖尿病が起こったり、薬剤や化学物質が原因となることもあります。また、妊娠によって起こるケースもあります。
1型糖尿病の治療
1型糖尿病と診断されたときは、体内の血糖値を一定の範囲内に調節するため、主にインスリン療法を行います。人は誰でも食事をとった後は血糖値が高くなりますし、空腹時は下がります。また、長時間の運動を行っていると血糖値はどんどん低下していきます。このような変化にうまく対応させないと低血糖による症状が出てしまいますので、血糖値の変化を見越してインスリンを体内に注射していくのです。
従って、1型糖尿病の治療にあたっては、担当医が患者さまの生活習慣を踏まえて適正なアドバイスを行うだけでなく、患者さま自身がしっかりとインスリンの注入量を調節し、医師と患者さまが二人三脚で対応してくことが極めて重要となります。
2型糖尿病の治療
糖尿病をいったん発症してしまうと、現在の医学では完治させることは出来ません。2型糖尿病も例外ではありません。しかし、糖尿病そのものは治せなくても、血糖値を正常に保ち、生活習慣を見直すことによって糖尿病の合併症リスクを軽減することは十分に可能です。
血糖値を適正に近づけるには、血糖コントロールを継続して行っていくことが重要です。糖尿病専門医の指導のもと、まずは食事療法と運動療法を並行して行います。しかし、食事や運動などの習慣を見直しても血糖値が下がらないときは薬物療法が必要となります。当院では、患者さまの症状をしっかりと見極め、より効果の高いお薬を処方いたします。